ビートルズの名曲「涙の乗車券」の歌詞「She don’t care」 の文法


曲の歌詞には時に、文法的に正しくないのではないかと思われるものが見当たります。ビートルズの「涙の乗車券(Ticket to Ride)」の歌詞は、その代表的な例としてしばしば挙げられます。

She’s got a ticket to ride, but she don’t care.
あの娘は乗車券を買った、でも平気な顔でいる。

主語が「She」で三人称単数の現在形なので、「don’t」ではなく「doesn’t」となるのが正しいように思えます。もちろん、ネイティブの英語話者である作詞者のジョン・レノンがうっかり間違えたわけではなく、何らかの意図があって「don’t」としたのだと思われます。歌詞の最後の方にも、「My baby don’t care」という同様の例が見られます。

この曲の歌詞で「don’t」が使われた意図については、大きく分けて2つの説があります。

▼「若者っぽさ」を出すため

イギリスのいわゆる「若者言葉」では、「三単現のs」を敢えてつけない場合があるようです。この曲は男性視点の曲ですが、若者言葉を使うことで、主人公である男性の「若さ」あるいは「幼稚っぽさ」を演出することを狙っているのではないかといわれます。

▼曲のメロディーやリズムに合わせるため

日本語の楽曲でも、曲に合わせるために、普段の会話では使わない言い回しをすることがしばしばあります。「涙の乗車券」の場合は、「She」「don’t」「care」と3音節で言った方がリズムとして心地よいのではないかという意見が多く見られます。「doesn’t」は2音節で、一息で発音することができないので、文法的に正しい言い回しを心がけると、メロディーやアクセントを変えなければなりません。

同様に、リンゴ・スターの楽曲「It Don’t Come Easy」や、ボン・ジョヴィの楽曲「She Don’t Know Me」など、「文法的には正しくない英語」が曲に使われている例はしばしば見られます。

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